東京高等裁判所 昭和42年(行ケ)141号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕 二 原告は、本件審決が引用した昭和二年九月二日特許局陳列館受入れの英国特許第二七〇八五〇号明細書は本件に適用のある旧特許法第四条第二号に規定された特許出願前国内に頒布された刊行物に当らないにもかかわらず、これを同号該当の刊行物としてされた本件審決の判断は違法であると主張し、結局、これが本件における唯一の争点である。
ところで、引用明細書が本願発明の特許出願日(昭和三五年二月二九日)前の日である昭和二年九月二日特許局陳列館に受け入れられた刊行物であることは、その方式および趣旨により真正に成立したものと推定される乙第二号証により明らかなところ、特許局陳列館は、本願発明の特許出願日以前から公開図書館として存したものであることは通商産業省設置法第四五条、第四六条の規定により明らかであり、したがつて、特段の事情の認められない本件においては、引用明細書は、本願発明の特許出願以前から公衆の閲覧しうべき状態に置かれたものと認むべく、このような状態に置かれた刊行物は、その時に旧特許法第四条第二号にいう国内に頒布された刊行物となつたものと解するに少しも妨げがない。原告の右主張は、とうてい採用できない。
三 右のとおりであつて、特許庁が同庁昭和三七年抗告審判第一三五六号事件につき昭和四二年月一二日にした本件審決にその主張のような違法があることを理由にその取消を求める原告の本訴請求は、理由がないから、これを棄却する。
(小沢文雄 影山勇 荒木秀一)